ここでは、「小さなイベントの収支計算」について書いていきます。

なぜこのテーマを選んだかというと、

「みんな、小さなイベントでも
自分の財布を犠牲にし過ぎだよ!!!!」


そう思う機会に何度も遭遇したからです。

というのも、僕はとあるチームで福井駅前で100m2ほどのイベントスペースの運営をしており、その中でいろんな方々のイベントの企画の場面を見る機会があるのですが、そこでみんなすぐ口にするわけです。

「足りない分は僕が負担するから」と。


いやいやいや、イベントまでまだ日数はあります。なんで最初から足りない前提なんですか!!!

みんなあまりにも「稼ぐ」という意識がなさすぎて、場所を貸してる側からしても「せめて場所代は元取って!」とつい思ってしまいます。中には、場所を借りたいという連絡をもらった段階で、「安くなりませんか?」という方もいらっしゃいますが、そういった方は是非計算し直してからもう一度お問い合わせをお願いします。

今回はこういった収支計算に慣れていない人向けに、僕たちが運営するレンタルスペースを題材に収支計算の例を載せようと思います。

それでは収支計算スタート!


まず前提として僕たちが運営するレンタルスペースの料金(税込)は、
・¥3,000/時(7時間未満)
・¥20,000/日(7時間以上)

です。
また、着席の場合の収容人数は
・50人
を目安にしています。
これを元に、1つ事例を考えていきます。

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【設定】
・利用用途:講演会
・講師:1名
・会場利用時間:4時間(準備~撤去)
・運営人数:3名

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今回はこのレンタルスペースでもよく行われる、県外から講師を招いての講演会の形式です。

利用時間は、
準備に1時間30分、講演で1時間30分、撤去に1時間の計4時間。
料金にすると
¥3,000/h×4h=¥12,000
になります。

また大前提として、講師の方への謝礼の額を想定します。
一般的には先方からの提示がありますが、ここでは
¥30,000+交通費として¥10,000=¥40,000
としておきます。
(時々ここを後回しにする人がいます。あなたが呼んだ大切なお客様です。絶対にやめましょう。)

自分たちの人件費も忘れてはいけません。冒頭にも述べたように、ここをおろそかにしてしまう人が結構多いんです。。
継続性のないイベントは「自分たちに利益がない」、ほとんどがこの原因で自然消滅しているのではないでしょうか。楽しいことはもちろん必要ですが、次回に繋げるため、もう一度楽しい思いをするために、ここは大事にしてください。

仮に¥1,000を4時間で一人当たり¥4,000円で想定します。
¥4,000/人×3人=¥12,000
これが人件費になります。
(少ないかもですが、これは最終的な利益から分配しても良いです。)

これだけでも既に計¥64,000かかっていますが、人を集めるにはさらに広告にも費用をかける必要があります。

今ではSNSで発信することが一般的になりましたが、影響力の大きな個人、団体でない限り、簡易的な告知では十分な効果を発揮しない場合があります。

なので、今回はチラシの配布を想定します。(配布は節約のため自分の足で行う想定をします。)ここでチラシのデザインを依頼したとして、デザイン制作費、印刷の費用を追加します。

印刷の部数は収容人数50人の10倍を目安に500部を想定し、
デザイン費を¥10,000
印刷費を¥7,000
としておきます。

さらに、講演会では来場者は1時間30分もの間、基本的には座ったままなので、来場者へのサービスとしてドリンクを提供しよう、という事にもなるかもしれません。ここは、1ドリンク制を採用して参加費に含めて考えていきます。

ここまでで既に¥86,000が支出としてかかり、これが参加費をいくらに設定するかの土台となります。

赤字にならないように参加費の検討の際に大切なことは、まず、「仮にいくらで何人参加すれば黒になるのか」その最低ラインを見極めることです。

ただ、今回は収容人数50人という設定があるので、思い切って満席になる前提で試算を進めます。上記の表も、ドリンクを50人分で計算しています。
(中途半端に、20人、30人くらいで、、と弱気にならず、満席を超えてできる限り多くの方に来て頂けるように、広報の力は緩めないようにしましょう。)

最初はドリンク込みで
参加費¥1,500
の場合を見てみます。

収容人数目安の50人が参加した場合の収入は
¥1,500×50人=¥75,000

ドリンクも仮に¥100/本のものを50人分用意したとして、
¥100/本×50本=¥5,000
となります。

ここで、全体の収支をまとめると、
収入-支出=¥69,000-¥86,000
     =-¥11,000
となります。

残念ながら、参加費¥1,500円では会場を満席にしても赤字になってしまいました。500部のチラシを配布したにも関わらず、これでは割に合いません。

ここで「人件費を削ればほぼ±0だ」なんて思わないでくださいね。

こうなった場合は、参加費を上げてみた場合で考えてみます。
次は、費用を少し上げて
参加費¥2,000
の場合を見てみます。

満席の50人が参加した場合の収入は
¥2,000×50人=¥100,000

ここで、全体の収支をまとめると、
収入-支出=¥100,000-¥86000
      =¥14,000
これでようやく黒字になりました。

まだまだギリギリではありますが、あとはこれで決定してチラシの制作、広報を開始するか、参加費を¥2,000より上げるかの検討になるかと思います。

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以上で収支計算の例は終了です。いかがだったでしょうか。

実際に見て頂くと、そんなに複雑なものではないかと思います。

本当であれば、ここに細かな備品の購入費などが入ってくることもあるかもしれませんが、最低限の要素を考えただけでもこれくらいの項目が考えられました。

今回題材にした講演会では、「参加費は¥2,000以上での設定が必要」という結果が得られましたが、ここまで見て頂いた方でも、もしかすると、「50人も呼べない。。」「¥2,000って高くない?」と思う方がいるかもしれません。

ただ、それは数字の大きさを見ているに過ぎません。

例えば、あなたが興味のある分野のプロフェッショナルや大好きなアーティストが、収容人数50人の小さなスペースで自分の目の前で話をしてくれる講演会だったとしたら、¥2,000の参加費で安いと感じるでしょうか。

きっとそうは思わないはずです。

費用が高く感じる、もしくは高く感じさせてしまうのには、基本的にはあなたが呼ぶ講師の価値をあなたが理解していないか、周りに伝えきれていないかのどちらかが原因です。

広報については別の機会でお話しようと思いますが、自分たちがタダ働きで浪費しないように是非参加費を上げる意味、方法も検討してみてください。