DIYによる一軒家のリノベーション、ゲストハウスのオープン、そして、結婚、出産。おそらく、人生の中でも上位を占めるイベントを、福井にUターン後、たった3年(2015〜2017年)という短い期間でやってのけた女性がいます。

そよ風に吹かれる野の花のように、繊細なのにたくましいしなやかさを持つ「福井ゲストハウス SAMMIE’S」のオーナー・森岡咲子さん。激動の・・・と言っても過言ではないギュッとつまった3年間は、彼女の成長の物語でもありました。

長女の千晴ちゃんを抱えながら、目まぐるしく過ぎていく日々の中で、森岡さんに改めて現在の心境や生活の様子を伺いました。

–ゲストハウスのオープンからベイビーが生まれるまで、めまぐるしい3年間でしたね。

森岡「ゲストハウスをするために福井に戻った時は、もちろんまだ結婚すると思っていなかったし、2015年8月にオープンして、ご縁があってパートナーと一緒になり、2016年8月に妊娠がわかってから、結婚、出産と、ほんとにあっという間でしたね」

–産後、どれぐらいで仕事に復帰されたんですか?

森岡「ありがたいことに、待っていてくださるお客さんのおかげで、調整しながら産後2ヶ月半で復帰しました。割と子育てが楽しかったので、正直、子育て以外のことはしたくない時期もあったんだけど(笑)やっぱりカウンターに立ってみたら、仕事は楽しかったな。むしろ、もっとやりたいことがむくむく出てきました」

–あえて聞きますが、子育てをしながらのゲストハウス運営は大変ですか?

森岡「大変ですよ(笑)育児が中心の生活ですが、サービスの質を落とさないよう、自分の仕事、タイミングなどを変えていって、毎日試行錯誤しながらやっています。

特に、長女がハイハイしだしてからは、ちょっとした作業や後片付けも大変になってしまって、育児で1日終わる日も・・・『今日はなんにもできなかった』なんて思うときもありますが、やりたいことがほんの少しでもできると嬉しくなります!」

–結婚や出産を通して、心境の変化などはありましたか?

森岡「独身の頃は、まず自分がやりたいことが中心でした。目標を置いて、それに向かって計画を立てて、基本的には一人で何でもやって。

出産直前に絶対安静になってしまった時に、強制的にブレーキがかかって、一人の身体じゃないって気づかされてから、自然と人に頼ることができるようになったんですよね」

2017年、SAMMIE’Sにはスタッフとして、土田佳奈さんが仲間に加わりました。かなちゃんの愛称で親しまれる彼女もまた、このゲストハウスになくてはならない顔になりつつあります。

森岡「かなちゃんが加わったことは、大きかったですね。元々、私は人に頼ることが苦手だったのですが、かなちゃんのおかげでできることの幅が広がったと感じています。

ゲストハウスのサービスを通じて成長していく姿は、オーナーとしてとても誇らしい。彼女のつながりで生まれるお客さんの輪も増えているんですよ」

また、子育てを通して利用者の気持ちや状況を幅広く想像できるようになったことで、ホスピタリティの向上につながったそう。

森岡「特に、小さな子連れの家族での旅行は、楽しい反面、とっても疲れるんですよね。そういった方でも、安心して気兼ねなくSAMMIE’Sを利用してもらえるよう、その都度、できるだけ臨機応変に対応していけたらなと思っています」

心強い家族と仲間が加わり、より一層パワーアップしたSAMMIE’S。

今や、まちの人と旅人が行き交う、福井の心の拠り所となったゲストハウスのこれからの進化に、今後も目が離せません。